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奈良地方裁判所 昭和53年(行ウ)9号 判決 1982年6月25日

奈良県北葛城郡当麻町当麻八六八ノ一

原告

阪口平一郎

右訴訟代理人弁護士

坂口勝

吉田恆俊

大和高田市三和町二の一七

葛城税務署長

被告

宮崎諦玉

右指定代理人

饒平名正也

本落孝志

松本有

西谷仁孝

石田俊雄

堀尾三郎

工藤敦久

主文

原告の請求はいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(一)  被告が昭和五二年三月七日付でなした原告の昭和四八年分同四九年分の所得税の更正処分(但、異議の申立に対する異議決定により取り消された部分を除く)中請求原因(一)記載の各金額を超える部分を取り消す。

(二)  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨。

第二当事者の主張

一  請求の原因

(一)  原告は、靴下仕上加工業を営むものであるが昭和四八年分、同四九年分の所得税の確定申告として法定期限内に左の各金額を各年分の総所得金額として申告した。

1 昭和四八年分 金 一〇〇万七五〇〇円

2 同 四九年分 金 一一二万五〇〇〇円

(二)  これに対し被告は、昭和五二年三月七日それぞれ次のとおり、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ない、その頃原告に通知した。

1 昭和四八年分 更正処分金額 金 三三四万八九二九円

納付すべき税額 金 三二万八五〇〇円

過少申告加算税 金 一万六四〇〇円

2 同 四九年分 更正処分金額 金 三一四万七一六三円

納付すべき税額 金 一七万九九〇〇円

過少申告加算税 金 八九〇〇円

(三)  原告は、これに対し昭和五二年四月二六日被告に異議の申立をしたが同年七月九日、いずれも原処分の一部を取り消し、次のとおり異議決定をし、その頃原告に通知した。

1 昭和四八年分 総所得金額 金 二八四万七七七三円

納付すべき税額 金 二三万一四〇〇円

過少申告加算税 金 一万一五〇〇円

2 同 四九年分 総所得金額 金 二六三万六一四五円

納付すべき税額 金 一一万〇〇〇〇円

過少申告加算税 金 五五〇〇円

(四)  原告は同年七月二八日に国税不服審判所長に審査請求をしたところ、同所長は、昭和五三年七月二〇日付で審査請求をいずれも棄却し、昭和五三年八月二五日頃、その旨を原告に通知した。

(五)  しかしながら、原告に対する本件各更正処分は、以下のとおり違法な目的の下に行われており、又、税務調査の実施方法も、手続的に違法であるから取り消されるべきである。

1 被告は、原告に対して、何らの事情聴取も、任意調査も行わないで、本件各更正処分を行つた。即ち、

昭和五一年七月の人事異動で、葛城税務署に山中総務課長、石丸統括官が着任し、「民商専担体制」がしかれた。その後、同年八月頃、被告署員が一度だけ、何らの事前連絡もなしに原告宅を訪れたが、原告は、不在であつたので、後日来ると言つて帰つたのであるが、その後は一度も、原告宅を訪れず、又、原告に対して何らの調査もしないで、本件各更正処分を行つた。

葛城税務署は税務調査を実施するに際して、第七二国会において決議された「税務調査に当つては、事前に納税者に通知するとともに、調査理由を開示すること」という決議事項を無視して、何らの事前通知も行わず、又、調査理由も開示しないで調査を行つた。

葛城税務署の「民商専担署員」らは、民商会員の税務調査に当つて、民商会員から営業状況等について話を聞こうともせず、又、まともに帳簿や書類等の調査をしようともしないで、一方的に調査を打ち切つた。

2 そして職権濫用にわたる反面調査を実施し、民商会員納税者を困惑させ、同人の取引先に対する信用を失遂させた。葛城税務署は反面調査と称して取引先、仕入先、外注先、取引銀行等あらゆるところを調査し、納税者本人の預金だけでなく、家族や従業員の預金まで調べ上げるという行為を行つた。被告が、右のように直ちに反面調査を実施した狙いは、原告の所得調査にあるのではなく、民商会員に対する嫌がらせと、民商の組織破壊にあつた。かかる被告の態度は、現行の自主申告制度を全く無視したものであり、職権乱用の反面調査である。

3 被告は、原告の正当な異議申立を不法に棄却した。被告の更正処分には、何らの理由も付されていなかつた。原告は、直ちに異議申立を行つたところ、再調査のため、小山上席調査官が原告宅を訪れた。

原告は、同調査官に対して、農業所得が無いにもかかわらず所得が認定されている事実を説明すると、同調査官も、その点は取り消すと言明した。さらに、原告は、営業所得についても、更正処分は間違つている事実を説明しようとすると、同調査官は、現在の葛城税務署の姿勢では、再調査した者の意見や再調査書等は、無視されてしまうので再調査しても意味がないと言つて、再調査もしないで帰つてしまつた。

そして、原告の異議申立に対しては農業所得については、取り消されたが、営業所得については、異議申立を棄却した。

以上のとおりであるから本件更正処分は所得内容の判断を行うまでもなく直ちに取消されるべきであり、仮に右が認められないとしても、原告の所得を何らの資料なしに過大に認定した違法があるから、取消を免れない。

よつて、本訴に及ぶ。

二  請求の原因に対する認否

(一)  請求の原因(一)ないし(四)は、認める。

(二)  同(五)、(六)は、争う。

三  被告の主張

(一)  課税の経緯

1 原告は、奈良県北葛城郡当麻町当麻八六八の一において、靴下仕上加工業を営む者である。

被告は、原告から提出された本件各係争年分の各確定申告書(白色申告書)を検討したところ、申告書の事業所得欄には事業専従者控除額及び所得金額が記載されているのみで、所得税法により記載を要すべき収入金額及び必要経費の記載がなく、しかも収支計算書の添付もなかつたことから、原告の申告した所得金額がはたして正当に算定されているか否かを確認する必要があつたので、昭和五一年一〇月頃より被告の所属係官をして原告宅に赴かせ実地に調査を行なわせた。

ところが、原告は、右係官が再三営業に関する帳簿書類等の提示を求め、かつ、本件係争各年分当時の営業状況及び原告の申告に係る事業所得金額の計算根拠等について説明を求めたにもかかわらず、いずれもこれにほとんど応じなかつたため、被告は原告の所得金額を実額で計算することができなかつた。

そこで、被告はやむを得ず、原告の取引先等について原告との取引状況、原告の事業の規模等の調査を行つたうえ、推計により原告の本件係争各年分の事業所得金額を算定し、本件課税処分をなさざるを得なかつたものである。

2 原告は、被告が税務調査にあたり第七二国会の決議事項を無視して事前通知も行なわず、調査理由も開示しなかつたこと、及び一方的な反面調査を行なつたことを手続的違法事由として主張する。

しかしながら、第七二国会の決議事項は、いわゆる税務行政についてその目標、方針を定めているにすぎず、法規範としての性格を有しない。

殊に、本件は、納税者との間の協力信頼関係が存しない場合であるので、右国会の決議事項はそのまま妥当するものではない。

次に事前通知のない税務調査は違法であると主張するが、税務職員が、その調査対象者に事前に調査日時を通知しているのは、調査が効率的に行えるという意味にすぎず、事前通知をするか否かは、課税庁の判断事項に属するものであり事前に通知することが調査を行ううえの法律上の要件とされているものではなく、違法視される筋合はない。のみならず、真実を確保するためには、場合によつては事前通知が障害とさえなりうることは事柄の性質上明らかである。

更に一方的な反面調査を行うことは違法であると主張するが、所得税法二三四条一項二号に規定する取引先調査(いわゆる反面調査)は、課税要件事実の真実性、正確性を担保する機能を有するものであつて、適正課税実現のための不可欠の手続である。

しかも、取引先調査は、調査に納税者の協力が得られない場合はもちろん、そうでない場合においても調査に従事する税務職員が、その合理的判断において必要があると認めた場合には、納税者の承諾の有無にかかわらず行い得ることは、法文の規定からも明らかであり、反面調査をするに際し、事前に納税者の了解を得る必要はない。

(二)  事業所得金額について

原告の係争各年分の事業所得金額は、次の述べるとおり昭和四八年分が三七四万三八五七円、同四九年分が二九六万四〇六六円であつて、その範囲内でなされた本件各更正処分には、何ら違法はない。

1 昭和四八年分

(1) 売上金額 七七二万七〇八八円

<省略>

イ 「その他」の売上について

西宮編物(株)については、原処分時に、原告から同社より材料支給を受けて仕上加工している旨の申立があつたが、その余の売上先については何ら説明も資料の提示もなかつた。

そこで、被告は、靴下の仕上加工に必須のセロハン袋の使用量(靴下一足に一袋を使う。)から「その他」の売上高を推計することとし、原告は靴下封入用セロハン袋をフジパツク(株)から、昭和四八年中に四九万八三〇〇枚(四万九八三〇デカ、なお一デカは一〇足である。)仕入れており、右セロハン仕入数量から、破損等のロス割合を二%とみて、それに相当する九九六六枚(九九七デカ)を差引き、さらに、西宮編物(株)に対する立替分一〇五〇デカ(後述ロ)を差引いた後の四万七七八三デカが、「その他」の売上に相応すセロハンの仕入数量となり、これに、同年分の一デカ当りの仕上加工賃(後述ハのとおり材料費+仕入加工の対価)である一一六・六一円(後述ハ)を乗じて算定した五五七万一九七五円が、「その他」の売上高となる。

(算式)

セロハン仕入デカ数×破損割合=破損デカ数

49.830デカ×2%=997デカ

セロハン仕入デカ数-破損デカ数-西宮編物立替デカ数=セロハン使用デカ数

49.830デカ-997デカ-1.050デカ=47.783デカ

セロハン使用デカ数×1デカ当り仕上加工賃=その他の売上

47.783デカ×116.61円=5,571,975円

ロ 西宮編物(株)立替分の算定

原告は、西宮編物(株)から材料支給を受けて、靴下の仕上加工をしていたのであるが、一時的に原告が、同社に対し材料を立替することがあつた。その立替した材料の内容、数量等につき原告は何ら具体的に資料を示し説明することをしないので、被告は、次のとおり、右立替分の数量を推計した。

昭和四八年中の立替分として、原告が西宮編物(株)から支払を受けた金額は一万三五〇〇円であるところ、同年中の一デカ当りの材料費の金額は、後述ハのとおり、フジパツク(株)からの材料仕入額を基礎として算定すると一二・八五円となるから、右立替分代金一万三五〇〇円を右一デカ当り材料費一二・八五円で除した一〇五〇デカが、同年中の立替分に相当する靴下仕上加工数量となる。

(算式)

西宮編物立替金÷1デカ当り材料費=立替分デカ数

13,500円÷12.85円=1.050デカ

ハ 一デカ当り仕上加工賃の算定

西宮編物(株)については、同社より材料支給を受けて仕上加工していたのであるから、仕上加工収入は、仕上及び加工の手間のみの対価であるのに対し、その余の売上先については原告自ら材料を調達して(材料もち)仕上加工していたから、その代金は、材量費と右仕上加工の対価(前述イの仕上加工の対価)とを合計したものとなる。従つて、「その他」の売上高を算定するのに必要な一デカ当りの仕上加工賃は、右西宮編物(株)の一デカ当り仕上加工賃と一デカ当りの材料費を合計したものとなる。

しかして、西宮編物(株)に対する売上金額は、二一五万五一一三円であり、同社に納入した靴下のデカ数は二万〇七九六・六デカであるから、一デカ当りの仕上加工の対価は、前者を後者で除した一〇三・七六円となり、また、材料は、フジパツク(株)から仕入れているところから、同社からの仕入金額六四万〇六九五円を前述のセロハン袋の仕入デカ数四万九八三〇デカで除すれば、一デカ当りの材料費一二・八五円が算定できるから、これら二者を合計した一一六・六一円が、昭和四八年分の一デカ当り仕上加工賃となる。

(算式)

西宮編物に対する売上額÷同社に対する納入デカ数=1デカ当り仕上加工賃

2,155,113円÷20,769.6デカ=103.76円-<イ>

フジパツクからの仕入金額÷セロハン袋仕入デカ数=1デカ当り材料費

640,695円÷49,830円=12.85円-<ロ>

<イ>+<ロ>=1デカ当り仕上加工賃

103.76円+12.85円=116.61円

(2) 売上原価及び一般経費 二五七万三一二〇円

右により算定した売上金額七七二万七〇八八円に後記5の同業者売上原価一般経費率(以下「同業者率」という。)である三三・三〇%を乗じて算定した。

(算式)

売上金額×同業者率=売上原価一般経費の金額

7,727,088円×33.30%=2,573,120円

(5) 特別経費 一二一万七六一一円

<省略>

(4) 専従者控除額 一九万二五〇〇円

(5) 事業所得金額 三七四万三八五七円

(1)-(2)-(3)-(4)により算定したもの。

2 昭和四九年分

(1) 売上金額 七七七万七九八五円

<省略>

イ 「その他」の売上について

昭和四九年分の売上先についても、原告は、西宮編物(株)以外に申立てなかつたので、やむをえず被告は、同四八年分と同様に、セロハン袋の使用量から「その他」の売上を推計することとし、同四九年中のフジパツク(株)からの靴下封入用セロハンの仕入デカ数三万一七三〇デカから、ロス割合二%、六三五デカ及び西宮編物(株)立替分五八三デカ(後述ロ)を差引いた後の三万〇五一二デカに、同年分の一デカ当り仕上加工賃一七九・九六円(後述ハ)を乗じて算定した五四九万〇九三九円が、「その他」の売上高となる。

(算式)

セロハン仕入デカ数×破損割合=破損デカ数

31.730デカ×2%=635デカ

セロハン仕入デカ数-破損デカ数-西宮編物立替デカ数=セロハン使用デカ数

31.730デカ-635デカ-583デカ=30.512デカ

セロハン使用デカ数×1デカ当り仕上加工賃=その他の売上

30.512デカ×179.96円=5,490,939円

ロ 西宮編物(株)立替分の算定

昭和四八年分と同様の方法により立替分を算定することとし、昭和四九年中に原告が西宮編物に立替えた金額は、一万五四五〇円であるからそれを後述ハにより算定した一デカ当り材料費二六・四六円で除すれば同年中の立替分に相当する靴下仕上加工数量五八三デカが算出される。

(算式)

西宮編物立替金÷1デカ当り材料費=立替分デカ数

15,450円÷26.46円=583デカ

ハ 一デカ当り仕上加工賃の算定

昭和四八年分と同様に、西宮編物(株)に対する売上金額二二八万七〇四六円を同社に対する納入デカ数一万四八九九・〇デカで除して得た一デカ当りの仕入加工の対価一五三・五〇円とフジパツク(株)からの仕入金額八三万九八七五円を同社からのセロハン仕入デカ数三万一七三〇デカで除して得た一デカ当りの材料費二六・四六円との合計額一七九・九六円が、昭和四九年分の一デカ当りの仕上加工賃となる。

(算式)

西宮編物に対する売上額÷同社に対する納入デカ数=1デカ当り仕上加工賃

2,287,046円÷14.899.3デカ=158.50円-<イ>

フジパツクからの仕入金額÷セロハン袋仕入デカ数=1デカ当り材料費

839,875円÷31.730デカ=26.46円-<ロ>

<イ>+<ロ>=1デカ当り仕上加工賃

153.50円+26.46円=179.96円

(2) 売上原価及び一般経費 二七七万五一八五円

右により算定した売上金額七七七万七九八五円に、昭和四九年分の同業者率三五・六八%を乗じて算定した。

(算式)

売上金額×同業者率=売上原価、一般経費

7,777,985円×35.68%=2,775,185円

(3) 特別経費 一七六万三七三四円

<省略>

(4) 専従者控除額 二七万五〇〇〇円

(5) 事業所得金額 二九六万四〇六六円

(1)-(2)-(3)-(4)により算定したもの。

3 争点を明確にするために、右1、2に述べた被告の主張額と審査請求時における原告の主張額とを対比すると、別表1のとおりとなる。

4 西宮編物(株)に対する取引について

(1) 原告の訴外西宮編物(株)に対する仕上加工の総数量は、昭和四八年分が二万〇七六九・六デカ、同四九年分が一万四八九九デカである。

(2) 右各年分の月別仕上加工数量及び同加工賃(売上金額)は、別表2のとおりである。

(3) 右各年分の取引のうち、原告が西宮編物(株)に対して立替えた材料(セロハン袋等)費は、別表3のとおりである。

5 同業者率の算定について

原告は、昭和四八、四九年当時、肩書地について、靴下仕上機を一台使用して、靴下仕上業を継続して営んでいた。靴下仕上加工業とは、靴下編立業者(製造メーカー)から、編み上つた靴下を受取り、セツト(仕上)機でセツト(熱処理による整型)し、その後、加工、即ち、製造メーカーのマークやサイズをつけ、パツカー(一足ごとに靴下の両端を止めるもの)を付けて、セロハン袋に封入し、小売店で販売できる状態にして、一定数量ごとに箱につめ、メーカーに納入することを業とする者である。

加工材料(パツカー、シール、セロハン袋、ハンガー箱など)は、メーカーから支給される場合と仕上加工業者が調達する場合とがある。

また、セツト(仕上)のみで納品する場合と、加工までして納入する場合とがある。

そこで被告は、右両年分の同業者率を次の方法により算定した。

(1) まず、同業者選定に当たり、原告との類似性の指標として次のイないしヘの条件を抽出した。

イ 靴下仕上業を営んでいる者(ただし、靴下仕上業以外の業種目を兼業している者を除く。)

ロ 葛城税務署管内に事業所を有する者。

ハ 年間を通じて事業を継続して営んでいる者

ニ 青色申告書を提出している者

ホ 靴下仕上機の保有台数が一台である者

ヘ 課税処分につき、不服申立て又は訴訟係属中でない者

(2) ついで、原告と同様に葛城税務署管内に納税地を有する所得税の納税者について、昭和四八、四九両年分とも右各条件にいずれも該当する者をすべて抽出すべく、大阪国税局長が昭和五四年三月三〇日付け「同業者調査表の提出について」と題する書面により、葛城税務署長に対し、前記各条件のいずれにも該当するすべての者につき売上(収入)金額、売上原価・一般経費及び売上原価・一般経費率を報告するよう求めた。そして右局長は、右署長から右各条件のすべてに該当する者のすべてとして、乙第七号証により、二七名の者を同人らの右各項目の計数とともに報告を受けたものである。

なお、右二七名の売上(収入)金額及び売上原価・一般経費の各計数は、同人らの所轄税務署長に提出した昭和四八年分及び同四九年分所得税青色申告決算書に記載された各金額(ただし、右署長が当該各年分につき調査した者については、その調査額)に依拠している。

(3) そして、右二七名の各年分ごとの売上原価・一般経費率(売上(収入)金額に対する売上原価及び一般経費の合計額の割合)を平均して、当該年分ごとに同業者率を算定した。

(4) 右二七名の年分ごとの売上(収入)金額、売上原価・一般経費(売上原価及び一般経費の合計額)、売上原価・一般経費率及び同業者率は別表4のとおりである。

そうすると、原告に適用される同業者率は、別表4の「同業者率(平均)」欄のとおり、昭和四八年分が三三・三〇パーセント、同四九年分が三五・六八パーセントとなる。

6 同業者率算定の合理性について

(1) 被告が同業者率算定の基礎とした右二七名はいずれも青色申告者であり、一定の帳簿書類を備え付けていて、これに基づいて申告しているものであるから、その数値は信頼に値する。

(2) 別表4に掲げる同業者は、前記各条件のいずれにも該当する葛城税務署管内の同業者のすべてであつて、その抽出は無作為かつ機械的に行われたものであるから、恣意の介入する余地は全くなく、その結果、前記報告に係る原告と類似する同業者の売上原価・一般経費率の平均(同業者率)値を原告の当該年分の売上(収入)金額に乗じて算定した同人の年分ごとの売上原価・一般経費の各金額はその実額に近似する。

以上のとおり被告の適用した同業者率は合理性を有するものである。

四  原告の反論

(一)  甲第一号証で明らかな如く、本件更正処分では、原告に、農業所得が無いにもかかわらず、農業所得を認定したりしており、又、営業所得についても、過大な所得認定がなされているのである。

(二)  昭和四八年分、同四九年分の得意先と各収入金額が、甲第五号証、同第六号証記載のとおりであることは認める。但、右各書証に記入されている推計加算金額は、完全に架空の収入金額であつて、否認する。

(三)  次に、昭和四八年分の一デカ当りの収入金額(セツト代と加工賃を加算した金額)を、被告は、何らの証拠なしに、金一一七円としているが、全く誤つた金額である。同年分のセツト代と加工賃は、一デカ当り金九八円であり、被告の金額は、あまりにも高すぎる。

(四)  次に、被告は、西宮編物(株)の仕上加工については、西宮編物(株)から、全部、原告に対して材料(セロハン、ソツパス等)が支給されたかの如く計算しているが、それは誤つている。西宮編物(株)から、支給された材料の割合と、原告が自分の材料を使用した割合の比率は、半々位である。乙第一号証で説明すれば、一デカ当り、九〇円以下の分は、西宮編物(株)から材料が支給されたものであり、九〇円を超える金額の分は、原告が自分の材料を使用したものである。

(五)  次に、被告は、フジパツク(株)から原告が購入したセロハン袋の数量によつて、原告の所得金額を推計しているが、そのような推計は、合理的でなく完全に誤つている。セロハン袋の購入数量のうち雨もりのため七~八、〇〇〇枚ほどは使用不能となり、また子供が遊び道具として使うためロス割合が五パーセント以上もあつた。

原告は、昭和四八年、同四九年にフジパツクから購入したセロハン袋をその年中に全部使用してはいない。その年中に使用する量は大体、購入数量の三分の二位であり、三分の一は、翌年回しになる。特に、昭和四八年は、オイルショツクで、材料がなくなる、材料が高くなると世間が騒いでいた時期でもあり、原告自身も、大量にセロハン袋を買い占めたものであり、同年中の購入数量四九万八三〇〇枚を同年中に全部使用したものではないのである。だからこそ、翌四九年のセロハン袋の購入数量は、三一万七三〇〇枚と昭和四八年よりも約一八万枚も減少しているのである。これは、同年に購入したセロハン袋の内、約三分の一は、翌四九年に使用したからであり、又、同年に購入した分についても約三分の一の数量は、翌五〇年中に使用しているのである。

このように、昭和四八年、同四九年に購入したセロハン袋を同年中に使用しきつたという前提の下に、原告の所得を推計した被告の計算方法は、完全に誤つており、本件各更正処分は取り消されるべきである。

(六)  経費率についても、被告は、同業者A、Bの二名から推計して経費率を出しており、原告の実状に合致しない経費率である。

(七)  雇人に対する給料の支払金額も正確ではなく間違つている。

(八)  原告の収入金額、仕入金額、一般経費金額、雇人に対する賃金額、外注費等の金額を集計して、作成した損益計算書は、甲第七号証(昭和四八年分)、同第八号証(同四九年分)であり、右各書証に記載されている金額が、原告の正確な所得金額である。

(九)  甲第九、同第一〇、同第一一号証によつて、原告は訴外橋本文雄、同松村元資、同伸憲一らから、昭和四八年分、同四九年分の仕上加工賃を受領したことが明確になる。

特に指摘しておきたいことは、仕上加工賃の一デカ当りの金額である。昭和四八年は、一デカ当り九八円であり、同四九年は、一デカ当り一四五円である。被告の同四八年が一一七円、同四九年の一八四円という金額(甲第五、同第六号証)は、あまりにも高すぎる金額であり、明白に誤つている。

そのことは、現在(昭和五六年)でさえ、一デカ当りの仕上加工賃が一六五円であることから考えても(甲第一九号証参照)、いかに、被告の一デカ当りの仕上加工賃の金額が不当なものであるかが明確になるのであり、そのような誤つた加工賃を基準にして算出された本件更正処分も誤つており、本件各更正処分は、正確な証拠資料に基いて検討すれば、取消を免れないのである。

(一〇)  原告が雇人に支払つた賃金額は、甲第一二号証のとおりであり、各外注、内職先への支払金額は、甲第一三ないし同第一八号証記載のとおりであり、これらの各支払金額についても、原告の所得計算に当つては、経費として収入金額から、控除されなければならない。

(一一)  そして、昭和四八年分、同四九年分の原告の所得計算は、次のとおりである。

1 昭和四八年分の所得計算

同年分の売上金額は、金四二九万五一六九円であり、その明細は、別表5の中の「昭和四八年売上金額(加工賃)の明細」に記載したとおりである。

次に、仕入金額は、金六五万五三二五円であり、その明細は、同別表中の「昭和四八年仕入金額の明細」に記載したとおりである。

同年分の一般経費は、同別表中の「昭和四八年分一般経費」記載のとおりである。

同年分の人件費及び外注経費は、金一一五万九一一四円であり、その明細は、同別表中の「昭和四八年分の人件費、外注費(内職)の明細」に記載したとおりであり、阪口アサノに対しては従業員給料として、葛井静子外三名に対しては外注費(内職)として支払がなされている。

同年分の利子、割引料は、当麻農業協同組合に対して金五万八四九七円が支払われている。

さらに同年分の事業専従者としては、原告の長男阪口勝亮が従事しており、専従者控除として金一九万二五〇〇円を控除した。

被告は、西宮編物株式会社(以下西宮編物(株)という)の加工分について、同会社から材料(セロハン袋、ソツパス等)が全部支給されたという推定の下に加工賃収入金額を計算しているが、それは事実誤認である。同会社から材料が支給されていたのは、一デタ当りの加工賃が九〇円以下の分であり、その明細は、同別表中の「西宮編物(株)の加工について同会社が原告に対してセロハン袋を支給した分の加工明細」に記載したとおりである。一デカ当りの加工賃が九〇円を超える分については、原告自身が自分の材料を使用して加工を行つていたのであり、その明細は、同別表中の「西宮編物(株)の加工について原告がセロハン袋を自分で購入して使用した分の加工明細」に記載したとおりである。一デカ当りの加工賃が、九〇円以下の分と九〇円を超えた分の区分は、乙第一号証によつて明白である。

昭和四八年内において、原告が使用したセロハン袋の使用状態は、同別表中の「昭和四八年分に購入したセロハン袋の使用状態」に記載したとおりである。決して、被告が主張するように、同年中に購入したセロハン袋を一〇〇パーセント同年中に使用してしまつたのではない。同年一一月、一二月等に購入したものは、大半、翌四九年一月、二月頃の加工分に使用している。原告が翌四九年分に持ちこしたセロハン袋の数量は、一万一一一四デカ分であつた。原告が昭和四八年中に購入したセロハン袋を同年中に全部使用したという推定の下に、収入金額を算定した被告の推計は不当な推計であつて誤つている。

従つて、昭和四八年分の所得を正確に計算すると、売上金額から、仕入金額、一般経費、人件費、外注費、利子割引料、専従者控除金額を差し引くと金九四万一一八二円になり、これが、同年分の原告の所得金額である。

2 同四九年分の所得計算

同年分の売上金額は、金五七〇万九一一六円であり、その明細は、別表6の中の「昭和四九年分売上金額(加工賃)の明細」に記載したとおりである。

次に、同年分の仕入金額は、金八五万九五二五円、一般経費は金一七一万二七三五円、人件費及び外注費は金一七三万六八〇九円、支払利子割引料は金二万六九二五円、専従者控除額は金二七万五〇〇〇円であり、それらの各明細は、いずれも同別表の各明細表に記載したとおりである。

従つて、同年分の原告の所得金額は、金一〇九万三六二二円である。

このように、被告の本件各更正処分金額は、昭和四八年分も、同四九年分も誤つており、取り消されなければならない。

五  被告の予備的主張

本件係争各年分の原告の事業所得金額は、前記の三の(二)のとおりであり、その範囲内でなされた本件各更正処分は、適法であるが、なお原告の主張にあわせ以下に述べるとおり予備的主張を行う。

(一)  原告は、係争各年末のセロハン袋の繰越数量は、昭和四八年及び同四九年とも購入数量の三分の一である旨主張している。

しかしながら、かりに原告主張の如く材料の繰越があつたとすれば、その割合については、特別の事情のない限り、各事業年分につきほぼ同様の状況にあつたものと認めるのが相当であると考えられるから、ある事業年分の消費数量を算定するに当つてはその前年分の繰越数量如何が問題になるところ、本件においては昭和四七年分につきその購入数量の三の一である一万六四三七デカが昭和四八年に繰越されたとみとめられるから結局四八年分の消費量は四万八九九二デカだということになり、これによるとむしろ、被告の従前の主張である四万八八三三デカ(セロハン袋の購入数量から破損数量を差引いた後の数量)を超えているのである。昭和四九年分についても以上の方法より算出した消費量は三万七〇〇七デカとなつて昭和四八年同様被告の従前の主張数量三万一〇九五デカ(セロハン袋の購入数量から破損数量を差引いた後の数量)を超えているのである。

したがつて、被告は、左記(1)ないし(4)により次項において述べるとおり原告の事業所得金額を計算した。

(1) 昭和四七年末のセロハン袋の繰越数量は、同年におけるセロハン袋の購入数量の三分の一とする。

(2) 係争各年分の仕上加工賃の単価は、原告主張のとおり、昭和四八年においては一デカ当り九八円、昭和四九年においては一デカ当り一四五円とする。

(3) セロハン袋のロス割合は、二パーセントとする。

(4) 西宮編物(株)と原告との取引においては、セロハン袋は現物支給されていたが一部原告が立替えていたとする。

(二)  そこで、予備的主張による原告の係争各年分の事業所得金額は、次表のとおりであり、その範囲内でなされた本件各更正処分は適法である。

<省略>

(1) 昭和四八年分

イ 売上金額 六八五万三四二九円

<省略>

その他の売上金額は、昭和四八年におけるセロハン袋の消費数量に原告申立による当時の仕上加工賃単価である一デカ当り九八円を乗じて計算した。

なお、昭和四八年におけるセロハン袋の消費数量の計算根拠は別表7のとおりである。

ロ 売上原価・一般経費 二二八万二一九二円

右により算定した売上金額六八五万三四二九円に昭和四八年分の同業者率三三・三〇パーセントを乗じて計算した。

ハ 特別経費 一二一万七六一一円

特別経費である雇人費・外注工費及び支払利子割引料については、右のとおりである。

ニ 事業専従者控除額 一九万二五〇〇円

ホ 事業所得金額 三一六万一一二六円

イーローハーニにより計算した。

(2) 昭和四九年分

イ 売上金額 七五六万八五二六円

<省略>

その他の売上金額は、昭和四九年におけるセロハン袋の消費数量に原告申立による当時の仕上加工賃単価である一デカ当り一四五円を乗じて計算した。

なお、昭和四九年におけるセロハン袋の消費数量の計算根拠は別表8のとおりである。

ロ 売上原価・一般経費 二七〇万〇四五〇円

右により算定した売上金額七五六万八五二六円に昭和四九年分の同業者率三五・六八パーセントを乗じて計算した。

ハ 特別経費 一七六万三七三四円

特別経費である雇人費・外注工賃及び支払利子割引料については、右のとおりである。

ニ 事業専従者控除額 二七万五〇〇〇円

ホ 事業所得金額 二八二万九三四二円

イーローハーニにより計算した。

ちなみに、係争各年分の原処分額、被告主張額は次表のとおりである。

<省略>

六 証拠

本件記録中の書証目録および証人等目録記載のとおり。

理由

一  原告は、本件更正処分手続に違法があると主張するけれども、所論国会決議事項は、法規範ではないから、違法事由とはならないし、民主商工会弾圧目的の更正処分であつたとの点は証明が十分ではなく、その他の主張は、本件更正処分の取消事由とはならないことが明白であるから、いずれも採用できない。

二  そこで本件更正処分の内容について検討する。

(一)  証人阪口勝亮の証言と弁論の全趣旨によれば、原告は肩書住所において従業者三名により靴下仕上機を使用して、靴下製造メーカーから受領した靴下に、熱処理整型、マーク、サイズ、パツカーの付加、セロハン袋封入、箱詰め等の加工をしてメーカーに納入する靴下仕上加工業を営む白色申告者であるが、帳簿書類の備付けがなく、原処分庁および審査庁は、推計課税によらざるを得なかつたことが認められ、これに反する証拠はない。

(二)  昭和四八年分所得について

1  官署作成部分については成立に争いがなく、その余の部分は、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第二号証、証人工藤敦久の証言とこれにより成立を認めうる同第九号証によれば、原告の販売先(顧客)は西宮編物(株)とその他より成るが、同会社に対する同年の売上高は、二一五万五一一三円であり、原告のセロハン立替分は、一万三五〇〇円であつたことが認められ、証人阪口勝亮の証言によれば一デカ当りの仕上加工賃は九八円であつたことが認められ、証人西村敏昭の証言とこれより成立を認めうる乙第四号証(官署作処部分の成立は争いがない)によれば、靴下仕上げに要するセロハン袋のロス割合は、二パーセントであることが認められる。原告は、雨もりのため使用不能になつたとか、子供が遊び道具に使用したゝめ、購入セロハンのロス割合は、五パーセントであると主張し、証人阪口勝亮の証言中には同旨供述部分も存するけれども、前掲他の証拠と比較してたやすく措信し難く、他には認めるような証拠がないので採用できない。

ところで証人西村敏昭の証言とこれにより成立を認めうる乙第五、一一号証(いずれも官署作成部分の成立は争いがない)によれば、原告がフジパツク(株)から購入したセロハン袋は、昭和四七年五〇万三二〇〇枚、同四八年四九万八三〇〇枚であつたことが認められるから、同四八年にいわゆるオイルシヨクのため買いだめした旨の原告の主張は採用できないが、証人阪口勝亮の証言によれば、翌年への繰越数量は、各年三分の一に達する事実が認められこれに反する証拠はない。

そこで、昭和四七年におけるセロハン購入数量からロス分を除き、前記割合で同四八年に繰越された数量に同年分ロス分を除いた数量を加え、これに三分の二を乗じてえた数量が昭和四八年のセロハン使用数量であるから、これから西宮編物(株)に対する自己使用分(前記一万三五〇〇円を一デカ当り材料費一二・八五円(前掲乙第五号証の取引金額を売渡数量で除したもの)で除してえた一〇五〇デカ)を除いた残数に仕上加工賃九八円を乗ずると四六九万八三一六円となる。

したがつて、昭和四八年の売上高は、前記西宮編物(株)に対する売上げと合わせ、被告主張の六八五万三四二九円を相当と認める。

2  成立に争いのない乙第六、七号証に弁論の全趣旨を総合すると、昭和四八年分の葛城税務署管内同業者二七名の売上原価一般経費率の平均は、三三・三〇パーセントと認められるから、前示売上高にこれを乗じてえた原告の同年分売上原価一般経費は、二二八万二一九二円となり、外に特別経費である雇人費、外注工賃、支払利子割引料並びに専従者控除額については当事者間に争いがない。

3  1の売上金額から2の必要経費を控除した残額三一六万一一二六円が昭和四八年分の原告の所得額と認めるのが相当である。

(三)  昭和四九年分所得について

1  官署作成部分については成立に争いがなく、その余の部分は弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第三号証によれば、同年の西宮編物(株)に対する原告の売上高は、二二八万七〇四六円であり、原告の同会社に対するセロハン立替分は、一万五四五〇円であつたことが認められ、証人阪口勝亮の証言によれば、一デカ当りの仕上加工賃は、一四五円であつたことが認められ、前掲乙第五号証によれば、原告がフジパツク(株)から購入した同四九年分セロハン数量は、三一万七三〇〇枚であつたことが認められる。

そこで昭和四八年におけるセロハン購入数量から前掲ロス分を除き、同四九年に繰越された数量に、同年分ロス分を除いた数量を加え、これに三分の二を乗じてえた数量が、昭和四九年のセロハン使用数量であるから、これから更に西宮編物(株)に対する自己使用分(前記一万五四五〇円を一デカ当り材料費二六・四六円(前掲乙第五号証の取引金額を売渡数量で除したもの)で除してえた五八三デカ)を除いた残数に仕上加工賃一四五円を乗ずると、五二八万一四八〇円となる。したがつて、昭和四九年の原告の売上高は、これに前記西宮編物(株)に対する売上げを加えた被告主張の七五六万八四八〇円を相当と認める。

2  前掲乙第六、七号証に弁論の全趣旨を総合すると、昭和四九年分の葛城税務署管内同業者二七名の売上原価一般経費率の平均は、三五・六八パーセントと認められるから、これを前記売上高に乗じてえた同年分の原告の売上原価一般経費額は、二七〇万〇四五〇円となり、外に特別経費である雇人費、外注工賃、支払利子割引料並びに専従者控除額については、当事者間に争いがない。

3  1の売上金額から2の必要経費を控除した残額二八二万九三四二円が、昭和四九年分の原告の所得額と認めるのが相当である。

三  そうすると、前叙認定にかゝる各所得金額の範囲内でなした被告の本件各更正処分(異議決定額)は、いずれも適法であるから、その取消しを求める原告の本訴請求は、失当として棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 山田賢 裁判長裁判官仲江利政、裁判官三代川俊一郎は転任のため署名押印できない。裁判官 山田賢)

別表1

<省略>

別表2 西宮編物(株)に対する仕入加工数量及び同加工賃

<省略>

別表3 西宮編物(株)に対する立替材料費

<省略>

別表4 同業者率の計算

<省略>

別表5

<省略>

昭和四八年売上金額(加工賃)の明細

<省略>

昭和四八年仕入金額の明細

<省略>

昭和四八年分一般経費について

<省略>

昭和四八年分の人件費、外注費(内職)の明細

<省略>

昭和四八年分支払利子、割引料について

<省略>

昭和四八年分専従者控除

<省略>

西宮編物(株)の加工について、同会社が原告に対してセロハン袋を支給した分の加工明細

<省略>

西宮編物(株)の加工について原告がセロハン袋を自分で購入して使用した分の加工明細

<省略>

昭和四八年分に購入したセロハン袋の使用状態

<省略>

昭和四八年分の一デカ当りの単価について

<省略>

別表6

昭和四九年分 所得計算

<省略>

昭和四九年分売上金額(加工賃)の明細

<省略>

昭和四九年分仕入金額の明細

<省略>

昭和四九年分一般経費について

<省略>

昭和四九年分人件費・外註費(内職)の明細

<省略>

昭和四九年分支払利子割引料について

<省略>

昭和四九年分 専従者控除

<省略>

昭和四九年 西宮編物(株)の加工について、同会社が原告に対してセロハン袋を支給した分の加工明細

<省略>

昭和四九年 西宮編物(株)の加工について、原告がセロハン袋を自分で購入して使用した分の加工明細

<省略>

<省略>

昭和四九年分に購入したセロハン袋・昭和四八年分よりくり入れた数量の使用状態

<省略>

昭和四九年分の一デカ当りの単価について

<省略>

別表7 係争各年分におけるセロハン袋消費数量の計算

昭和48年分

<省略>

別表8

昭和49年分

<省略>

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